【小学校同級生】の【当時の家庭の事情】を大人になってから知る ~冷飯に大根のつめたい味噌汁~

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「たかりん」と後にあだ名をつけられるようになる彼が、都会から私のクラスに転校してきたのは、昭和のど真ん中、小学校4年生の時だった。

ノッポでひょうひょうとした彼は、転校先のド田舎において、シュッとあか抜けたところがあり、無類の読書好きで、知的なものの言い回しをするインテリであり、当時の小学生には天文学的な金額だった千円札が、いつもクシャクシャに丸められて数枚ポケットに入っていて、少しご年配のご両親と、10歳以上年が離れた車を運転する「お兄さん」がいて、大人じみた少し面倒くさい人だった。

しかし彼とはどこか気の合うところがあり、彼を含む数人で毎日放課後に悪さをしていた。
今思えば私たちの子供じみた遊びに彼が付き合ってくれていたように感じる。

小学生の当時は彼が「何故、転校してきたのか」など、周りの同級生も誰も気にせず、特に話題にもならないままだった。

彼とは中学校も同じだったと思うのだが小学校卒業とともに疎遠になり、その後はそれきりになってしまった。

転校生の彼と過ごした少し不思議な数年間。

それから随分と月日は流れ、私もいい加減、年齢を重ね彼の存在を完全に忘れていた先日、ひょんな所で、ひょんな事からあの彼の「転校してきた理由」を耳にする出来事があり、
「ああそう言えばそんな奴いたな・・・そうだったのか・・・」と。
(転校理由は知らなければよかった切ない事情なので割愛いたします)
久しぶりに彼を思い出すと同時に、刹那、冷飯と味噌汁が頭に浮かんだ。

彼=冷飯+味噌汁

小学生当時、周りが皆、読んでいた本と言えば学校図書室で借りる、実に子供らしいものばかりでしたが、転校生の彼は自宅の本棚にぎっしり並んだ文庫本をいつも読んでいて、2時間もあれば一冊読破する当時の小学生からすれば「すごいヤツ」だったのです。
本読むときの目線の使い方がうまかったよな。
たぶん視読、速読やってたんだな。

当時彼から勧められて読んだ本、突然記憶の底から彼とともにでてきた一冊、

小説「ブンとフン」 井上ひさし著

生まれて初めて手にとった文庫本、アマゾンで購入して読み返してしまいました。
Kindle版だけど。

物語は

「ある寒い夜、畑の真ん中の一軒家で小説家のフン先生が、冷飯に大根のつめたい味噌汁をぶっかけて、その日7度目の食事を胃の中へ流し込んだ」

この場面から始まるこの話、改めて読み返すと子供のころ感じた感覚とは全く別物で、奥が深かったんだと。素晴らしい作品です。

でね・・・

これって冷飯と大根のつめたい味噌汁のインパクトなのよ、昔も今も。

本作で真っ先に思い出すのが、冷飯とつめたい味噌汁になっちゃうんですわ。

少し前に音楽劇にもなったみたいですね。

そして脳裏に「secret base 〜君がくれたもの〜」が流れる。

たかりん

冷飯と味噌汁を

ありがとな

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